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国民健康保険の管理方法が改正!市町村単位から都道府県単位へ

国民健康保険と免許証画像
日本は国民皆保険制度になっているため、国民全員が国民健康保険に加入することになります。

社会保険に加入するサラリーマンは除き、自営業者や無職の人、社会保険に加入していない非正規雇用者は自分で役所において国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。

その国民健康保険の管理方法が2018年4月に改正されました。

国民健康保険料の内容と金額

国民健康保険は市町村ごとに保険料の金額が決められるため、地域の経済力や人口構成などにより、保険料の地域間格差が非常に大きくなっています。

例えば、同じ東京都でも、23区と島では所得割で約4%の差、均等割で約3万5,000円の差が付くところもあります。

保険料は個人ごとに課される定額の「均等割」と、所得に応じて変動する「所得割」で構成される市町村が一般的ですが、中には固定資産税額に比例する「資産割」や、世帯単位で一定の「平等割」を課す市町村もあります。

国民健康保険は都道府県単位化に変わります!

国民健康保険は従来、「市町村」が保険者となって運営されてきましたが、2018年4月から「都道府県」も保険者に加わることになります。

国民健康保険は日本の国民皆保険制度を支える制度ですが、少子高齢化の進行にともなって医療費が高騰しており、制度の維持が限界に達しています。

特に、高齢化が進んでいる市町村や、所得収入の少ない市町村などでは保険運営における財源が枯渇しています。

そこで、保険制度の継続性を確保するため、財政面の主体を都道府県に移管することになりました。

国民保険料の財政面におけるシステムの変更

従来、保険料の決定から徴収、保険事務などすべての業務が各市町村で実施されていましたが、都道府県が財政運営の主体となることで、保険業務の分担が以下のようになります。

都道府県:各市町村の医療費、国民健康保険の加入者数や所得、高齢者数や年齢構成などを参考に、市町村ごとの「標準保険料率」を算定し、保険給付費用(交付金)などを市町村に支払います。

市町村:保険事務を行うとともに、標準保険料率を基準にして算出した保険料を加入者から徴収して都道府県に収め、都道府県の交付金から保険金を給付します。

今回の改正では財政面の管理が変わるだけで、手続きにおける事務や保険料の徴収は従来通り市町村が行うため、国民における制度変更の影響はありません。

国民健康保険料が値上がります

国民にとって一番大きな問題である保険料に関しては、全体的には値上がりすることになります。

理由は簡単で、国民健康保険の財政は市町村の一般会計において約3,000億円の赤字状態だからです。例えば、東京を見ると、以下が予想されています。

・都内平均の保険料は20%以上のアップ
・ほぼすべての市区町村で保険料がアップ
・多摩地区では50%以上のアップになる市もあり

実際には、市町村の一般会計からの資金の投入があったり、激変緩和措置が採られたりするので一気に上がることはありませんが、保険料における国民の負担が全体的に増えることに変わりはありません。

改正によって都道府県単位に変更されたからといって、市町村ごとに保険料が決まることに変わりはないため(ただ、大阪府や宮城県、広島県など、保険料の格差の小さい県では、保険料の統一を図る自治体もあります)、保険料の上がる市町村があれば、減額になる市町村も出てきます。

ところで、国民健康保険は自営業者を対象としていますが、全般的に自営業者は疲弊しており、その他の加入者においては無職の人が40%、社会保険に加入できない非正規雇用者が40%など、低所得者の割合が80%と多い状況であることから、高い保険料を課すのは難しいのが実態です。

一方、サラリーマンの社会保険料率も年々上昇しており、少子高齢化が解消しない限り、健康保険という制度自体が厳しい状況にあるのが現実です。

国民健康保険改正のまとめ

国民健康保険の財政が厳しい状況から、今後滞納者に対する取り立てがより厳しくなる姿勢がうかがえます。

ちなみに、保険料の金額に関しては、住居地の都道府県のホームページなどで情報が公開されており、「国民健康保険料」で検索すると確認できます。